RE:RISING(馬鹿小説部屋)

ひづきまよのオリジナルのメインの小説部屋。 学校物をひたすら書いてます★★ 基本的に全員変です。

最強奉行:112

 以前のように、ベルと同時に執事であるロワードが奥から颯爽と現れ、セルドの姿を見て「お待ちしていました」と丁寧に応対をする。
 勧められるまま、セルドはキュリアの居る部屋へと案内された。相変わらず塵一つない屋敷の内部。よく掃除が行き届いているのがわかった。
「久しぶりねぇ」
 物腰の柔らかい声が部屋に響く。
「…何の用だよ?」
 逆に警戒するセルドは、理事用の木製の机に向かい、椅子にゆったりと腰を据えているキュリアを見る。久しぶりに見るが、あまり変化もないように感じた。
「しばらく見ないうちに感じが変わったわね。何かあったのかしら」
「…髪型変えられただけだよ…罰ゲームで…」
「あら…そうなの。まあいいわ。そういえば、レオニスはどこに行ったのかしら」
「ああ…あいつなら、用事があるとか言ってた」
 理事室の奥から物音がする。
 セルドは音に反応し、その方向を見ると、常にキュリアの側に居る生徒会長のハルトが資料の山を抱えて姿を現した。
「…まあ、いいわ。ハルトと手分けして、去年の予算報告の資料をまとめてほしいのよね」
「はあぁあああっ!?何で俺が」
「私一人で出来る訳ないでしょう?仕事が山積みで捌き切れないのよ。本当はレオニスにも手伝ってほしいのよね…何をやっているのかしら」
 相変わらずの身勝手な要求に、セルドは反抗して「断る!」と踵を返す。
「やってくれたら、あなたの好物を奢ってもいいわよ。好きなだけさしあげるわ」
「………」
 好きなだけ、という言葉に足が止まってしまう。好物を好きなだけ…食えるのかと。セルドは甘いケーキとかクッキーとか、果物やチョコレートで彩られたプリンとか、いろいろと想像してしまった。
 相手はお嬢様で、好きなだけ買わせても動じない相手だ。多少の出費がかさんでも、大して屁でもない位。
「高級なデザート」
 キュリアからの甘い言葉は容赦なく続く。セルドはぴくりと耳を動かした。
「送られてくるカタログに、たくさん載っているのよねぇ…美味しそうなケーキもい〜っぱい。有名なパティシエが作ったのなんて、たまらない位美味しいんでしょうね。注文しちゃおうかしら〜」
「…ちゃんとくれるんなら、手伝ってやっても…」
 もにょもにょ、とセルドはあいまいな返答をした。キュリアは、勝ち誇ったような表情を浮かべる。
「じゃあ、やってちょうだい」
 そう言い、彼女は優美に微笑んだ。

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最強奉行:111

 聞いてはいけないネタだったな、とレオニスは黒板の方へ向き直る。いつものクセで、授業中にも関わらずポケットの中の携帯を開くと、メールの着信があったことに気がついた。
 マニからのメール着信。
 話をしたいという旨の内容だった。
 あれから電話もメールもしていないので、気まずい気がしていたが、避けても何にもならないので了解の返信をする。
 あんな風に取り乱す彼女を初めて見たので、余程自分を気にいってくれていたのだろう。ストレートに、好きだと感情を出してくれたのは、今まで出会った異性の中ではマニだけだった。
 しかし、どういう訳なのか、派手なマニよりも地味なマリカに興味が湧いたのだ。
 儚く弱そうな容姿をしているくせに、会うたびに意思が強くなっていく彼女に。
 マリカに対する感情がまだ何に当たるのかはわからないが、今は彼女に興味があった。多少、掴み所がない趣味もあるが。
「…っうわぁああ!!」
 重い気持ちを掻き消すような叫びが、レオニスの背後で沸き上がる。
「セルド!うるさい!何遊んでるんだ!」
 教師に注意されてしまった後ろのセルドを見ると、精巧に再現された三匹のムカデの模型が、彼の机に乗っていた。
 レオニスは不思議そうに彼を見る。
「まめよん…何コレ?」
「あの女だ…今度はこんなもん仕込みやがって!」
 セルドの言うあの女…イコール、隣の家のマリカ。彼女はセルドがよくいたずらにひっかかってくれるので、楽しいようだ。マリカは一人娘なので、隣に越してきたセルドが兄弟のように見えるらしい。
 レオニスはムカデの模型を摘んで、よく出来てるなあ〜、と感想を述べる。
「まめよんはよくひっかかるねえ」
「やるよ、これ…いらないから」
 セルドはムカデをわしづかみにしてレオニスのポケットに突っ込んだ。貰ってもしょうがない代物だが。
「くっそ〜…あの女…」
 悔しいらしく、彼はぶつぶつと文句を呟いている。いつもこんな感じだから、からかいがいのあるのかなとレオニスは苦笑した。

 放課後に校内放送でまた呼び出しをされたセルドは、しぶしぶとそれに従うように、呼び出しをしたキュリアの居る理事室へと向かっていた。校舎内は帰宅をする生徒や、部活のユニフォームを着た生徒でごった返している。
 久しぶりに会うのだが、どうもセルドはキュリアが苦手だった。お嬢様特有の傲慢さが目につくような感じがして、何だか癪に障ったりする。これはきっと苦手という域なんだろうなと自覚していた。
 大きく、豪華な彫り物がついているドアをゆっくり開くと、ドアの上部のベルが鳴り響いた。

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小話■『思い出すだけで腹が立つ過去』

 受験も間近に迫る時期、セルドは最後の追い込みに励んでいた。希望高校の倍率は去年よりも増えていたので、努力の上に努力を重ねなければならない。

 時に、セルド15歳の冬。

 焦っても空回りしてしまうので、焦って先を急ぐよりも、勉強をして知識を蓄えていった方いい。それが何よりも近道だという信念の持つ彼は、ひたすら勉学に励む。
 難問にさしかかり、参考書をよく見ても解らない。というか、解りにくい。横にしても逆さにしても、解らないものは解らない。思い悩むが、聞きたくもないが兄を頼るしかない。一応彼は馬鹿だが、いい大学も出ている。
 しかたないので、リビングに居る兄に参考書を片手に問う事にした。
「なあ」
 随分と不躾な言葉をかける。だが、兄はそれくらいでは怒ったりはしない。それを弟は十分すぎるくらい熟知していた。
「セルド♪」
 妙に嬉しそうな声音は切羽詰まる環境に置かれているセルドにはイラッとくるものはあるが、頼れるのは彼しかいないので言わない事にする。
「これ、解らないんだけど」
「私を頼ってくれるんだね!嬉しいなあ、いつも解らないことがあれば聞いてと言ってるのに、なかなか聞いてもくれないから寂しかったけど…やっぱり私の弟なだけあって、頭もいいし顔は可愛いし打ち所がない自慢の弟だよ〜」
「…質問に答えてくれないか」
 話し掛ければひたすら長い言葉で返ってくるので本当は質問なんかしたくもなかったが我慢する。
 しかし。兄は質問に答えるどころか、全く違う事を吐き散らすのだった。
「私でよければいくらでも教えるのに、なかなか聞いてくれないんだもんなあ〜★言うなれば私がセルドの保護者みたいなものだし、成績大丈夫かな〜、なんて心配していたけど、成績表を見れば進学なんて余裕だよねっ。セルドなら難関な場所もスイスイ行けるはずだけど、無難なところでいいのかな?まあ…あそこは家も近いし、セルドにとってはいい都合が環境なのかもしれないよねっ」
 弟マンセーなツェイクのセリフの羅列にひたすら我慢するセルド。
 そんな無駄な時間はないのにと、不快指数が高まるのを感じながらも、辛抱強く質問をした。
「わかったから…解らない所を答えてくれないかな…前書きはいいから。人の話を聞けよ」
「まあまあまあ、たまには私の話もゆっくり聞いてくれてもいいでしょ。休息も時には必要なんだよ、セルド?私も受験の時期はぴりぴりしていたけど、休み休み入れながらもやっていたものだよ。あ、セルドはきっと、簡単に合格できると私は思うよ?私が面接官なら間違いなく成績関係なしに合格させてあげるよ、なんなら太鼓判を押してもいいよ!うん、君なら一発で首席だよ!何てったって私の可愛い弟だからねっ!こんな可愛い子をおとせる訳がな…」
 聞いていてだんだんうんざりしてきた。
 まだ何かを喋り続ける兄の頭を、参考書片手に、無表情で角で容赦なく打った。
 ガツリと。
「Σ(OДo)?!」
 急な激痛に、ツェイクは頭を押さえ会話を途切らせる。頭の中で轟く雷鳴。
「だからお前に聞くのがイヤだったんだっ!馬鹿!!役立たず!!もういいわ、聞かねえ!!」
 大人しそうな顔に似合わず暴言を吐く受験生、キレた。
 怒鳴り散らし、そのまま部屋へ帰る。ドスドスと音を聞きながら、リビングに残されたツェイクは、頭を押さえながら痛みを噛み締めていた。

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プロフィール

ひづきまよ

Author:ひづきまよ
地味にかくれ腐になってる半端主婦見習い。
あっち系(笑)も割と好きだし馬鹿っぽいギャグものも大好きな人間です☆アホネタ大好きな腐女子なので相手してください☆
亀並みに更新遅めですがコメント頂ければ返しに伺います★
腐っている馬鹿日記はリンクにて公開中。何の脈絡もないですが主婦とは思えない腐れ日記発動中です。
■最初に書いてた記事を間違って消してしまったのでここに書きます(笑)
駄文なんですが当たり前のように悪用や無断転載とかは禁止してます。
相互リンクもくどいようですが募集中です。できれば絡んでくれる方がいいんですが絡まなくてもリンクのみでもOKです★


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